ありがとう。
今日、51歳の彼が旅立った。
癌の告知からおよそ3年間の壮絶な闘病生活を経て。
彼とは、バイクが縁で27年前に知り合った。
一緒に走ったツーリングの数々、ライディングスクールの日々。
彼はどちらかというと、ソロツーリングを好む孤高のツーリスト。
わたくしが納めた新車に跨ると
「明日は早朝から、ちょこっと、慣らしに行ってきますから・・・・」
翌日の閉店間際に、真っ黒にすすけた顔で慣らし運転から戻って来ると
「1000キロ走ってきました。初回点検よろしくお願いします(笑)」
バイク同様彼の大切な趣味のスキー。
スキーを始めたとたんすっかりはまってしまった彼は
車も四駆の本格派なら自宅玄関横にはスキー用品の乾燥・収納庫まで造ってしまう。
何事もやりだしたらとことん!徹底的に追求していく。
何事にも綿密な計画と周到な準備を怠らない、完ぺき主義の彼の行動は
いい加減を絵に描いたようなわたくしにとって、常に良いお手本である。
そんな彼が描く人生の設計図に この病気は もちろん載っていなかった。
「NABEさん、僕、癌が見つかりまして・・・・。今、この病気について勉強しているんです。
相手のことを良く知ることで 戦いは有利に展開できますからね。負けませんよ!」
飾られた彼の写真は 素晴らしい笑顔。 よく頑張ったな。そして 今日まで ありがとう。