門下生のご父兄が

稽古が終り着替えながら師範とお話しているところに

「先生、うちの子、もう辞めさせます」と門下生のご父兄が。

師範「どうされましたか?」

父兄「うちの子は通い始めて一年ですがちっとも上達しません。強い子にしたいので〇〇会館に入門させます」

師範「分かりました。お元気で頑張ってくださいね」


わたくしは物言う立場に無いので こみ上げるものを抑えていた。
師範は終始ニコニコされていたが 心中を察するに辛いものがある。

わたくしから見てこのお子さんは「一年にしては良好だなあ」と思えるのだが ご父兄にはまどろっこしく見えるのであろう。


本当は大きい声で教えてやりたい。
「上達しているか否かは師が見極めることであるはず。さらにはここで上達するまでの辛抱が出来ない奴が どこに行っても結果は同じだ。 一度そんなことを始めてしまうと 何でも環境のせいにしてしまう考え方が身に付くばかりだ。 国体・全日本で戦う選手がここから幾人も輩出されていることも知らずに・・・」

効を急ぐと ろくなことは無い。辛抱こそが上達の秘訣だ。